「頭真っ白、耳疑った」=母子死傷事故の遺族がコメント-三菱欠陥裁判
12月13日18時1分配信 時事通信
三菱自動車工業の虚偽報告事件で13日、元三菱ふそうトラック・バス会長宇佐美隆被告(66)らと三菱自に無罪判決が出されたことを受け、2002年1月に横浜市瀬谷区で起きたタイヤ脱落事故で死亡した岡本紫穂さん=当時(29)=の遺族は同日の閉廷後、「耳を疑った。怒り心頭で言葉が出ない」などとするコメントを発表した。 コメントで母親の増田陽子さん(57)は「判決を聞いた瞬間は頭が真っ白になった」とし、法廷に持参した岡本さんの遺影も「出すことができなかった」と嘆いた。さらに「報告要求がなかったという結論は、国土交通省もいいかげんだということではないか。こんな無罪判決が出たら、世間の人は『三菱は悪い会社じゃない』と思って事件が風化してしまう」と怒りをぶつけた。
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三菱自動車 「虚偽報告」裁判で3被告と法人に無罪判決
12月13日17時17分配信 毎日新聞
横浜簡裁に入る宇佐美隆被告(中央)と花輪亮男被告(左)=横浜市中区で13日午後0時45分、米田堅持写す
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三菱自動車(三菱ふそうトラック・バスに分社)製の大型車のタイヤ脱落事故をめぐり、リコールを避けようと国に虚偽報告したとして道路運送車両法違反(虚偽報告)罪に問われた▽三菱ふそう元会長、宇佐美隆(66)▽三菱自元常務、花輪亮男(65)▽同元執行役員、越川忠(64)の3被告と法人としての同社に対し、横浜簡裁(小島裕史裁判官)はいずれも無罪(求刑・各罰金20万円)を言い渡した。 三菱自製大型車の欠陥隠しをめぐる三つの刑事裁判で初めての判決。いずれの被告も無罪を主張していた。判決は国土交通省の施策にも影響を与えそうだ。 事件の発端は、02年1月10日に横浜市瀬谷区で同社製のトレーラーけん引車(トラクター)から脱落した前輪の直撃を受けて母子3人が死傷した事故。前輪脱落の原因は車輪と車軸をつなぐハブの破損だった。 起訴状などによると、この事故を受けて国土交通省はハブ破損についてリコールに該当するか同社に報告を要求、同年2月1日、宇佐美被告ら3人は過去に同じような不具合が約40件発生し、強度不足が疑われた上、技術的根拠もないのに整備不良による異常摩耗が原因と説明した。さらに摩耗量0.8ミリ未満でハブが破損した事例を隠し、技術的根拠のないグラフを示すなどして「0.8ミリ以上で交換すれば十分な耐久寿命を確保できる」と報告した。 道路運送車両法は00年の同社のリコール隠し事件をきっかけに改正され03年1月に施行、虚偽報告をした者に科される刑罰は罰金20万円以下から▽個人は1年以下の懲役か罰金300万円以下、またはその両方▽法人は2億円以下の罰金--に引き上げられた。【野口由紀】
「警察、検察に猛省求める」=被告3人コメント、弁護人が会見-三菱自虚偽報告
12月13日19時1分配信 時事通信
三菱自動車工業の虚偽報告事件で、横浜簡裁が無罪判決を言い渡したことを受け、政木道夫弁護士ら被告3人の弁護団は13日午後、横浜市内で記者会見し「法を的確に運用した裁判所に敬意を表する。われわれを苦しめた警察、検察に猛省を求める」などとする3人のコメントを読み上げた。 3人はコメントの中で「犯罪の要件も検討しないまま違法な逮捕に及び2年以上も裁判を続けた」と捜査当局を批判。弁護団も「証人らから素直に話を聞く姿勢に欠けていた。調書が事実と食い違っていることが多く、最初に結論ありきだった」と付け加えた。
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<三菱自動車>「虚偽報告」裁判で3被告と法人に無罪判決
12月13日13時24分配信 毎日新聞
三菱自動車(三菱ふそうトラック・バスに分社)製の大型車のタイヤ脱落事故をめぐり、リコールを避けようと国に虚偽の報告をしたとして道路運送車両法違反(虚偽報告)罪に問われた▽三菱ふそう元会長、宇佐美隆(66)▽三菱自元常務、花輪亮男(65)▽三菱自元執行役員、越川忠(64)の3被告と法人としての同社に対し、横浜簡裁は13日、いずれも無罪(求刑・各罰金20万円)を言い渡した。小島裕史裁判官は三菱自の報告の一部を隠ぺいした事実を認めたが、「法に基づく国土交通相の報告要求が存在したとは認めがたい」と指摘し、虚偽報告の罪は成立しないと判断した。 同社製大型車の欠陥隠しをめぐる三つの刑事裁判で初の判決。被告側は「犯罪の要件を検討せず違法な逮捕に及んだ」と捜査当局を批判し、横浜地検は「予想外の判決」として控訴する方針。 判決によると、02年1月に横浜市で起きた同社製大型車による母子3人死傷事故を受け、国交省自動車交通局の職員は事故原因となったハブ(車輪と車軸をつなぐ金属部品)の破損がリコールに該当するか、三菱自に電話で報告を要求。担当者らは過去のハブの不具合事例と摩耗量に関連が見られなかったのに「事故は整備不良による異常摩耗が原因だから、リコールしない。摩耗量0.8ミリ以上で交換すれば、十分なハブの耐久寿命を確保できる」と報告した。 検察側はこれが虚偽報告に当たると主張したが、判決は「報告要求は国交相がするものだが、国交相が要求した事実や同省職員が国交相の意思に基づくものと示して報告要求した事実は認められない」として退けた。 一方で判決はこの報告の前に、三菱自の社員が越川被告の了解を得て、0.8ミリ未満の摩耗でハブが破損した9例の摩耗量の数値を書き換えるなどした表を国交省に提出したと認定。9例に極端な整備不良などを疑わせるデータはなかったと指摘した。【野口由紀、伊藤直孝】 ◇安全を軽視した企業体質を問う意図も=解説 横浜簡裁の判決は、道路運送車両法に定められた国土交通相による「報告要求」を厳格にとらえ、「外部的な通知書や告知」などが必要と判断した。検察側は同省職員の電話などによる報告要求が「実務上定着している」と主張してきており、判決は現在の交通行政に影響を及ぼすことは必至だ。検察側は控訴する方針を示しており、無罪判決の可否は上級審に委ねられそうだ。 一方で判決は、検察側の主張を法律論だけで門前払いせず、三菱自によるデータ改ざんの事実をあえて指摘した。 母子3人死傷事故では業務上過失致死傷罪で同社元部長ら2人が逮捕、起訴された。同時に法定刑が罰金刑の道路運送車両法違反罪で、当時の同社幹部が逮捕、起訴される異例の展開を見せた。背景には「欠陥を会社ぐるみで隠していた三菱自の幹部の責任を問わない限り、社会正義は全うされない」(当時の捜査幹部)という思惑があった。 道路運送車両法は00年の同社のリコール隠し事件を機に厳罰化され、国交省にリコールの命令権が付与されるなどした。三菱自も一連のリコール隠しを「過去のうみを出し切れず、倫理意識の欠如した企業の風土があった」と振り返っている。 だが、欠陥隠しがあったとされる事件以降も、同社から分社した三菱ふそうトラック・バスは国交省から警告書と改善指示という2度の行政指導を受けている。判決も罪の成立こそ認めなかったが、都合の悪いデータを改ざんしていた同社の行為を認定することで、安全を軽視した企業体質を問う意図がうかがえる。【野口由紀】 ■ことば(三菱自動車虚偽報告事件) 02年1月、横浜市瀬谷区の歩道で、走行中の同社製大型車から脱落した前輪の直撃を受けた神奈川県大和市の主婦、岡本紫穂さん(当時29歳)が死亡し、2人の子も負傷。原因は車軸とタイヤをつなぐハブの破損で、国土交通省の担当者がリコールすべきか報告を求めた際、同社が虚偽報告したとして、横浜区検は道路運送車両法違反罪で起訴した。
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